遺産分割協議の無効②
今回は、前回の「遺産分割協議の無効①」の続きを記載したいと思います。
成立した遺産分割協議が無効になる場合としては、以下のような場合があります。
・錯誤
・相続人全員で行われていない場合
・相続人でない者を加えてなされた場合
・重要な相続財産が漏れてなされた場合
・遺産分割協議後に遺言書が発見された場合
相続人でない者を加えてなされた遺産分割協議としては、元々遺産分割協議時において相続人でなかった者が加わっている場合と、遺産分割協議時においては相続人であった者が、その後に相続権を喪失した場合があります。
遺産分割協議後に相続権を喪失する理由としては、婚姻無効判決、縁組無効判決、親子関係不存在確認判決等により血縁関係が否定された場合や、相続欠格による相続権不存在確認判決、推定相続人の廃除の審判により相続権を法的に剥奪された場合などがあります。
相続人でない者を加えてなされた結果、本来の相続人が遺産分割協議に参加していなかった場合は、「相続人全員で行われていない場合」にあたるため、当該遺産分割協議は無効となります。
これに対し、相続人でない者を加えてなされたが、遺産分割協議に参加していない相続人がいない場合は、この者に対して分割された財産を取り戻したうえで、当該財産を未分割相続財産として本来の相続人のみで分割を行えばよいという説が有力です。
ただし、当該未分割相続財産が重要な相続財産にあたる場合は、下記「重要な相続財産が漏れてなされた場合」と同じく、既に成立した遺産分割協議を無効とすることがよいと考えます。
重要な相続財産が漏れてなされた遺産分割協議は無効となります。これは、当該財産を含めて遺産分割を行っていたとすれば、遺産分割協議の内容が異なっていたであろうと考えられる場合において無効とされます。
そのため、遺産全体から考えると、漏れていた相続財産がごく一部であり、既に成立した遺産分割協議を無効とするまでの必要がない場合は、当該未分割相続財産のみを分割することも出来ます。
▽次回は、遺産分割協議の無効に関する続き及び遺言と異なる遺産分割協議に関することを記載したいと思います。