借地権の相続税評価
借地権とは、建物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権のことをいい、通常の借地権・定期借地権等・一時使用目的の借地権に区分して評価します。
なお、下記各評価方法により算出される借地権の価額は、建物所有者の課税評価額となり、その残りの価額が土地所有者の課税評価額となります。
通常の借地権は、更地の課税評価額に地域ごとに定められた借地権割合を乗じて評価します。
借地権割合は路線価図や評価倍率票に表示されており、30%~90%までの割合で地域ごとに定められていますが、だいたい60%~70%程が多いです。
定期借地権等は、原則としてご相続発生時において建物所有者に帰属する経済的利益及びその存続期間をもとに評価します。
課税上弊害がない場合に限り、定期借地権等の目的となっている土地の更地としての課税評価額に、下記計算式により算出した数値を乗じて評価することが出来ます。
なお、定期借地権等とは、借地借家法第22条から第24条までに規定されている定期借地権、事業用定期借地権等、建物譲渡特約付借地権のことをいいます。
一時使用目的の借地権は、雑種地の賃借権と同じように評価します。雑種地の賃借権の価額は、原則としてその賃貸借契約の内容、利用の状況等を勘案して評価しますが下記のように評価することが出来ます。
① 地上権に準ずる権利として評価することが相当と認められる賃借権(賃借権の登記がされているもの、設定の対価として権利金や一時金の支払いのあるもの、堅固な構築物の所有を目的とするものなど)の場合
(計算式)
更地の課税評価額×残存期間に応じた法定地上権割合と借地権割合のいずれか低い割合
② 上記以外の賃借権
(計算式)
更地の課税評価額×残存期間に応じた法定地上権割合×1/2
※法定地上権割合 | |||
残存期間 | 地上権割合 | 残存期間 | 地上権割合 |
10年以下 | 5% | 30年超35年以下 | 50% |
10年超15年以下 | 10% | 35年超40年以下 | 60% |
15年超20年以下 | 20% | 40年超45年以下 | 70% |
20年超25年以下 | 30% | 45年超50年以下 | 80% |
25年超30年以下及び 期間の定めのないもの |
40% | 50年超 | 90% |
▽次回は、借家権、貸家建付地の相続税評価に関することを記載したいと思います。