原則的評価方式、大会社・中会社・小会社の区分
非上場株式(取引相場のない株式)の相続税評価における同族株主等の判定の結果、原則的評価方式により評価することとされた株主が取得した株式の評価方法は、会社の規模に応じて以下の3つの方法に分類されます。
・大会社・・・類似業種比準方式
・中会社・・・類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式
・小会社・・・純資産価額方式
ただし、大会社・中会社ともに純資産価額方式を選択することも出来、小会社は類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式を選択することも出来ます。
類似業種比準方式を使用する場合の類似業種比準価額の比率は、大会社は100%、中会社はさらに大・中・小と区分したうえで、大は90%、中は75%、小は60%となり、小会社は50%となります。
そして、残りの割合に対する純資産価額を足すことにより、評価会社の株価を算出することが出来ます。
なお、会社規模の区分は下記のとおりとなります。また、類似業種比準価額は純資産価額と比べて低額になることが多くなります。
大会社・中会社・小会社の区分 | ||||
規模区分 |
区分の内容 | 総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)及び従業員数 | 直前期末以前1年間における取引金額(売上高) | |
大 会 社
|
従業員が100人以上の会社又は右のいずれかに該当する会社 | 卸売業 | 20億円以上(従業員が50人以下の会社を除く) | 80億円以上 |
小売・ サービス業 |
10億円以上(従業員が50人以下の会社を除く) | 20億円以上 | ||
卸売業、 小売・サービス業以外 |
10億円以上(従業員が50人以下の会社を除く) | 20億円以上 | ||
中 会 社
|
従業員が100人未満の会社で右のいずれかに該当する会社(大会社に該当する場合を除く) | 卸売業 | 7,000万円以上(従業員が5人以下の会社を除く) | 2億円以上 80億円未満 |
小売・ サービス業 |
4,000万円以上(従業員が5人以下の会社を除く) | 6,000万円以上 20億円未満 |
||
卸売業、 小売・サービス業以外 |
5,000万円以上(従業員が5人以下の会社を除く) | 8,000万円以上 20億円未満 |
||
小 会 社
|
従業員が100人未満の会社で右のいずれにも該当する会社 | 卸売業 | 7,000万円未満又は 従業員が5人以下 |
2億円未満 |
小売・ サービス業 |
4,000万円未満又は 従業員が5人以下 |
6,000万円未満 | ||
卸売業、 小売・サービス業以外 |
5,000万円未満又は 従業員が5人以下 |
8,000万円未満 | ||
※財産評価基本通達178 |
中会社の大・中・小の区分は、総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)及び従業員数または直前期末以前1年間における取引金額に応じて、それぞれ下記に定める割合のうちいずれか大きい方の割合となります。
中会社の大・中・小の区分 | |||
総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)及び従業員数に応ずる割合 | |||
卸売業 | 小売・サービス業 | 卸売業、 小売・サービス業以外 |
割合 |
14億円以上 (従業員数が50人以下の会社を除く) |
7億円以上 (従業員数が50人以下の会社を除く) |
7億円以上 (従業員数が50人以下の会社を除く) |
0.90 |
7億円以上 (従業員数が30人以下の会社を除く) |
4億円以上 (従業員数が30人以下の会社を除く) |
4億円以上 (従業員数が30人以下の会社を除く) |
0.75 |
7,000万円以上 (従業員数が5人以下の会社を除く) |
4,000万円以上 (従業員数が5人以下の会社を除く) |
5,000万円以上 (従業員数が5人以下の会社を除く) |
0.60 |
直前期末以前1年間における取引金額(売上高)に応ずる割合 | |||
卸売業 | 小売・サービス業 | 卸売業、 小売・サービス業以外 |
割合 |
50億円以上80億円未満 | 12億円以上20億円未満 | 14億円以上20億円未満 | 0.90 |
25億円以上50億円未満 | 6億円以上12億円未満 | 7億円以上14億円未満 | 0.75 |
2億円以上25億円未満 | 6,000万円以上6億円未満 | 8,000万円以上7億円未満 | 0.60 |
※複数の区分に該当する場合には、上位の区分に該当するものとします。 ※財産評価基本通達179 |
▽次回は、類似業種比準方式に関することを記載したいと思います。