遺留分の放棄
遺留分を有する推定相続人(相続人になる予定の方)は、相続が発生する前に家庭裁判所の許可を得て遺留分を放棄することが出来ます。
遺留分の放棄は、遺留分権利者自身の意思により行われるものであるため、本人のみが申立人になることが出来ます。家庭裁判所の許可を必要としている理由は、他の相続人等の詐欺、強迫等により遺留分放棄が行われることのないようにするためです。
申立ては、被相続人(相続人に財産を承継させる人)の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行うことになります。そして、遺留分放棄許可の審判がされた場合は、相続開始時において遺留分が侵害されていたとしても、遺留分を放棄した者は遺留分減殺請求を行うことが出来ないことになります。
これに対し、遺留分の放棄は相続の放棄とはならないため、遺留分が侵害されていない場合は、遺留分を放棄した者は相続により財産を取得することが出来ます。
また、共同相続人の1人が行った遺留分の放棄は、他の共同相続人の遺留分には影響を及ぼさず、被相続人の意思により自由に処分の出来る財産の範囲が増加することになります。
なお、遺留分を放棄した者が被相続人よりも先に亡くなることにより、代襲相続が発生した場合においても、代襲者は相続人となる予定であった者の権利の範囲内において相続権を承継することになるため、代襲者も遺留分減殺請求を行うことが出来ないことになります。
▽次回は、清算型遺贈 – 売却代金の遺贈と不動産登記に関することを記載したいと思います。