遺言書のある遺産相続
遺産相続が発生した場合、まずお亡くなりになられた方が遺言書を残していたか否かを確認する必要があります。
遺言書がない場合は、相続人間の話し合いによりそれぞれが取得する財産を決定する遺産分割協議を行うことになります。
遺言書がある場合は、遺言書の形式により手続きが異なることになります。遺言書の形式としては、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言がありますが、秘密証書遺言は滅多にないため、ほぼ自筆証書遺言か公正証書遺言になります。
公正証書遺言の場合は、当該遺言書を使用してすぐに遺産相続手続きを行うことが出来ますが、自筆証書遺言の場合は、家庭裁判所における遺言書の検認手続きを行わなければ、当該遺言書を使用して遺産相続手続きを行うことが出来ません。
なお、公正証書遺言があるか否かを調査したい場合は、公証役場において調査することが可能です。公正証書遺言は、日本全国の公証役場で作成されたものを一元化したデータベースにより管理されているため、実際に作成を行った公証役場でなくとも調査することが可能です。
遺言書のある遺産相続手続きは、遺言執行者が選任されているか否かによっても、手続きの方法が変わります。
遺言執行者が選任されている場合は、遺言執行者のみで遺産相続手続きを行うことが出来ます。
これに対し、遺言執行者が選任されていない場合は、遺産相続手続きを行うにあたり相続人全員の協力が必要となります。
そのため、相続人の一部の者にとって有利な内容となっている場合や相続人以外の者への遺贈が行われている場合などは、相続人全員の協力を得ることが出来ずに遺産相続手続きをスムーズに行うことが出来ない可能性があります。
相続人全員の協力を得ることが出来ない場合は、家庭裁判所において遺言執行者の選任手続きを行う必要があり、その後遺産相続手続きを開始することが出来る形となります。
ただし、不動産の名義変更に関しては、遺言執行者が手続きに関与出来ない場合があります。これに関しては次回記載したいと思います。
ちなみに、遺言書がある場合でも遺言と異なる遺産分割協議を行うことが出来る場合があります。
▽次回は、遺言による不動産・預貯金・株式の名義変更手続きに関することを記載したいと思います。