負担付遺贈 | 相続財産に属しない財産の遺贈
負担付遺贈とは、遺贈をする代わりに受遺者に対して一定の義務を負わす遺贈のことをいいます。例えば、「受遺者に対して自宅を遺贈する代わりに、遺言者の配偶者に対し毎月○万円の生活費を支払う。」といった内容の遺贈です。
負担付遺贈を受けた受遺者は、遺贈の目的の価額を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行する責任を負うものとされています。なお、受遺者が遺贈を放棄した場合は、受遺者の負担による利益を受ける予定であった者が自ら受遺者となることが出来ます。
また、受遺者が負担付遺贈により負担した義務を履行しない場合において、相続人が相当の期間を定めて義務の履行の催告を行ったにも関わらず履行がなされない場合は、当該負担付遺贈に関する遺言の取消しを家庭裁判所に対し請求することが出来ます。
遺言者が亡くなった時に、遺贈の対象である財産が相続財産に属していない場合は、遺贈の効力は発生しません。しかし、その財産が相続財産に属しているか否かに関わらず、当該財産が遺贈の目的とされている場合は、遺贈の効力は発生することになります。
この場合は、遺贈を履行する義務を負う者においてその財産を取得して、受遺者に対し移転しなければなりません。もし、当該財産を取得することが出来ない場合やこれを取得するために要する費用が多額になる場合は、遺贈を履行する義務を負う者は、当該財産の価額相当額を受遺者に対し支払う必要があります。
また、債権が遺贈の対象とされている場合において、既に遺言者が弁済を受けており、かつ、その受け取った物が相続財産中に存在している場合は、その物が遺贈の対象である財産となります。
なお、当該債権が金銭を目的とする債権であった場合は、相続財産中にその債権額に相当する金銭がない場合においても、その金額が遺贈されたことになります。
▽次回は、死因贈与 – 不動産の名義変更に関することを記載したいと思います。