相続分・遺産分割方法の指定、遺産分割の禁止
相続分の指定とは、「A・B・Cの相続分を各3分の1とする。」「Aに2分の1、Bに4分の1、Cに8分の1、Dに8分の1の割合で相続させる。」等といったような遺言により相続分を指定することをいいます。
相続分の指定がある場合は、相続人は法定相続分ではなく、遺言により指定された相続分の割合に応じて遺産分割協議を行う必要があります。
また、相続分の指定をされているのが共同相続人中の1部の者のみである場合は、残りの共同相続人の相続分は法定相続分に従い決定され、これに基づき共同相続人間において遺産分割協議を行うことになります。
なお、相続分の指定は、遺言により第三者に委託することも出来、当該第三者による相続分の指定の効力は相続開始時に遡及して発生することになります。
遺産分割方法の指定とは、「現物分割、換価分割、代償分割、共有分割」という遺産分割の方法自体を指定する場合や「○不動産をAに、△不動産をBに、預貯金をCに相続させる。」といったような各相続人が取得する財産を指定することをいいます。
前者の遺産分割の方法自体の指定の場合は、共同相続人間において遺産分割協議を行う必要がありますが、後者の「相続させる。」旨の遺言の場合は、遺産分割協議を行うことなく相続発生と同時に各相続人が指定された相続財産を取得することになります。
ただし、指定された財産以外にも相続財産が存在する場合は、当該財産に関する遺産分割協議を行う必要があります。
なお、遺産分割方法の指定は、遺言により第三者に委託することも出来、当該第三者による遺産分割方法の指定の効力は相続開始時に遡及して発生することになります。
遺言により、相続財産の全部または一部に関し、遺産分割を禁止する旨が記載されている場合は、相続人は指定されている期間内において遺産分割を行うことが出来ません。この期間は最大で5年とされています。
また、家庭裁判所の判断により、「特別の事由」がある場合は、相続財産の全部または一部に関し、期間を定めて遺産分割を禁止することが出来ます。「特別の事由」とは、遺産の範囲に関して争いがある場合のように、直ちに遺産分割を行うことが出来ない理由がある場合をいいます。
なお、共同相続人間の合意により一定期間遺産分割を禁止することも出来ます。
▽次回は、遺言書内容の解釈 – まかせる旨の遺言に関することを記載したいと思います。