名義預金と相続税
名義預金とは、形式上は配偶者や子、孫などの名義の預金口座ではあるが、当該名義人の収入等から考えると、実質的な所有者は別にいる場合のように、名義を借りているだけの預金のことをいいます。
そして、実質的な所有者が亡くなった際に名義預金であると判断された預金は、当該者の相続財産であるとして扱われることになるため、当該預金額も含めて相続税が課されることになります。
ただし、名義預金ではなく、贈与により財産が預金名義人である受贈者に移転していることを証明出来れば、相続財産に含まれないことになります。
例えば、親が子ども名義の銀行口座を作成し、そこに預金したとしても、そのことを子どもが知らなければ、贈与が成立するためには受贈者の受諾が必要であるため、贈与は成立せずに親の財産のままとなります。
また、子どもが知っており、受諾の意思表示を行っていたとしても、贈与契約書等の書面がなければこれを立証することは難しいため名義預金と判断される可能性が高いことになります。
これに対し、贈与契約書等により贈与であることを立証出来る場合や、通帳や届出印を子どもに渡し、子どもが自由に当該預金を使用することが出来る状態にあれば贈与が成立したといえ、名義預金であると判断されないことになります。
贈与が成立したと立証出来る場合において、贈与時に贈与税を納めていない場合は、各年の贈与額が基礎控除額(現行法では110万円)以下であれば非課税となり、基礎控除額以上であっても時効が成立している場合は課税されないことになります。
贈与税の時効は、原則として6年ですが、贈与税を納める必要があることを知っていながら税申告を行っていなかった場合等は7年になります。
なお、相続人または受贈者に対する相続発生前3年以内の贈与に関しては、相続税を算出するにあたっての課税評価額に加算されることになります。
ちなみに、贈与契約書は、契約時点において当該契約書が存在していたことが証明出来るように、公証役場で確定日付を取得しておいたほうがよいと思います。
▽次回は、負担付贈与の課税に関することを記載したいと思います。