財産分与と慰謝料、贈与の違い
財産分与とは、婚姻中に夫婦で協力して築いてきた財産を、離婚により夫婦それぞれの財産として分割することをいいます。財産分与は、経済力の弱い側が、相手方に対して財産の分与を請求することになります。
財産分与の金額は、当事者間の話し合いにより決定することになりますが、話し合いにより決定出来ない場合は、家庭裁判所の調停により決定していくことになります。
これに対し、慰謝料は婚姻破綻の原因を作った有責配偶者が、相手方の請求により離婚による精神的苦痛に対して支払うものであり、財産分与とは性質が異なるものとなります。ただし、財産分与の金額を決定するにあたっては、慰謝料の額を含めて決定しても構いません。
なお、財産分与の請求権を行使出来る期間は、民法第768条第2項の定めにより離婚から2年で時効となるのに対し、慰謝料の請求権は、不法行為による損害賠償請求権の性質をもつため、民法第724条の定めにより離婚から3年で時効となります。ただし、時効期間内に請求権を行使し、判決として確定した場合は、新たに通常の債権としての時効が進行することになるため判決確定の時から10年で時効となります。
また、財産分与は贈与とは異なり、相手方から無償で財産を受け取る行為ではなく、上記のとおり、婚姻中に夫婦で築いてきた財産を離婚に伴い分割する行為であるため、原則として贈与税は課されないことになります。
ちなみに、退職金は給料の後払い的な性格があるため、給料と同視することが出来、婚姻中に夫婦で協力して築いてきた財産とみることが出来るため、退職金も財産分与の対象となります。
▽次回は、財産分与と贈与税、不動産取得税に関することを記載したいと思います。