相続人が1人もいない遺産相続 相続財産管理人選任
お亡くなりになられた方には、ご相続人様となられる方が1人もいないため、どうすればよいのかと、ご相続財産を管理されている従兄弟様からのご相談でした。
ご相続内容 | |
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お亡くなりになられた方のご住所 | 大阪 |
ご相続人様 | なし |
ご相続財産 | ご自宅、預貯金3,000万円 |
お亡くなりになられた方は、ご結婚をされていましたが、配偶者様は先にお亡くなりになられており、お子様も親御様・ご兄弟姉妹様も一切おられないとのことでした。
そのため、ご生前に、ご相談者様である従兄弟様をはじめとする2~3名の方に財産を遺贈するための遺言書を作成することを考えられていたそうです。
しかし、お元気であったため、ご本人様も従兄弟様も「まだ大丈夫。急がずゆっくり書けばいい。」とおっしゃっているうちに、急に体調が悪くなりお亡くなりになられたとのことでした。
そこで、お亡くなりになられた方と普段から月に数回交流をされていたご相談者様が、ひとまずご自宅の鍵や通帳等のご相続財産に関するものを管理することになったとのことでした。
そして、いつまでもご相続人様でもないご相談者様が財産を管理しておくわけにもいかず、今後どうすればよいのかを教えてほしいとのことでした。
そのため、ご相続人様がお1人もいない場合は、家庭裁判所における手続きによって相続財産管理人という者を選任し、この相続財産管理人にご相続財産を引き渡す手続きを行う必要がある旨ご説明させて頂きました。
この家庭裁判所に対する相続財産管理人選任の申立ては、利害関係人または検察官が行うことが出来、この利害関係人には今回のような相続財産を管理している者である事務管理者も含まれます。
ただし、この申立てを行うにあたっては、申立人となるご相談者様が申立費用及び数十万円から百万円程の予納金を納める必要があるため、この旨もご説明させて頂きました。
この予納金は、相続財産管理人に選任された者に対する報酬等に使用されることとなり、この報酬額等は家庭裁判所の判断のもと決定されることとなります。
そして、ご相続財産が少ない場合は申立人がそのまま負担しなければならないことになりますが、債権者に対する支払い等が完了した後のご相続財産の残余額が、実際に相続財産管理に要した費用を上回る場合は、後日この予納金は申立人に対し返還されることになります。
さらに、申立て手続きを行うにあたり専門家に依頼した報酬に関しても、担当裁判官の判断によっては、相続財産により負担することが可能な場合もあります。これに関しては、後日選任される相続財産管理人が別途家庭裁判所に対して申立てを行うことになります。
今回の場合ですと、債務はほぼなく、相続財産として預貯金3,000万円があったため、予納金の返還に関してはほぼ問題がありませんでしたが、申立てに関する当センターの報酬に関しては、ご相談者様がご負担しなければならない可能性がありました。
この旨ご説明させて頂いたうえで、どうされるかをお考えになられた結果、当センターへご依頼して頂くこととなりました。
そこで、お亡くなりになられた方のご相続財産状況を調査させて頂いた結果、ご自宅及び預貯金3,000万円のプラスの財産の他に、定期的に依頼をしていたお弁当屋さんなどに対する少額の負債があることが判明しました。
これは、毎月末に締めて、翌月に1ヶ月分を一括でお支払いするという契約であったため発生した債務でした。
このような少額の債務に関しても、相続財産管理人を選任後、相続財産管理手続きの中において処理を行わなければなりません。なお、葬儀費用に関しては、ご相続財産よりご使用されたとのことでした。
そのため、ご自宅及び預貯金3,000万円並びにお弁当屋さんなどに対する負債を記載した財産目録を作成し、申立書に葬儀費用に関することを記載せて頂き、家庭裁判所へ提出をさせて頂きました。
以上の結果、ご相続財産は家庭裁判所に選任された相続財産管理人に引き継がれ、すべての手続きが完了した後、予納金がご相談者様にご返還されることとなりました。
また、申立てに関する当センターの報酬に関しても、家庭裁判所に認めて頂くことが出来、ご返還されることとなりました。(ただし、これに関しては上記のとおり必ず認められるものではございません。)