養子縁組とは | 相続関係・相続税法上の取扱い
養子縁組には、普通養子縁組と特別養子縁組の2種類があります。おおまかに説明をすると、普通養子縁組は実親及びその血族との親族関係も継続する養子縁組であり、特別養子縁組は実親及びその血族との親族関係を終了させる養子縁組となります。
ほとんどの養子縁組が普通養子縁組となります。また、養子となる者が未成年者であっても、15歳以上であれば本人の意思で養子縁組を行うことが出来、15歳未満であっても法定代理人(親権者など)の承諾があれば行うことは出来ます。
普通養子縁組の場合は、実親との親族関係も継続するため、養子は実親及び養親の財産を遺産相続することとなります。
また、逆に養子が死亡した場合でこの養子に子どもがいない場合は、実親及び養親が共に相続人となり、それぞれ均等に養子の財産を遺産相続することとなります。
特別養子縁組の場合は、養子縁組により実親との親族関係が終了することになるため、養子が実親の財産を遺産相続することもなければ、実親が養子の財産を遺産相続することもありません。
上記のように、民法上は当事者の意思により何人でも養子縁組を行うことは可能であり、その養親・養子間において相続関係が発生することになります。
しかし、相続税法上は、養親の遺産相続において相続税の基礎控除額などを計算する際に法定相続人の数に含めることの出来る養子の人数は、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までに制限されております。
納める相続税額を低額にすることを目的として、際限なく養子縁組が行われることを防ぐために、相続税法上このような規定が設けられています。
逆にいうと、納める相続税額を低額にすることを目的とする場合であっても、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までであれば認められているということになります。
また、孫が養子となっている場合は、相続税の計算を行った結果、算出された相続税額に、20%の税額が加算されることとなります。これ以外の場合は、養子も実子と同じく20%の税額加算は行われません。
養子縁組は、届出を行うことによって成立します。養子縁組届には、養親・養子及び成年の証人2人以上の署名が必要となります。
届出先は、養親か養子の本籍地または住所地の役所の戸籍課となります。
また、養親・養子のうち、届出先の市区町村に本籍がない者がいる場合は、その者の戸籍謄本が必要となり、養子縁組を行うにあたり家庭裁判所の許可が必要となる場合は、養子縁組許可に関する審判書が必要となります。
普通養子縁組の場合は、戸籍に養子であることが明記されます。
これに対し、特別養子縁組の場合は、養子であることがわからないように、実子のように記載されています。ただし、身分事項欄に「民法による裁判確定」の記載がされるため、これにより特別養子であることがわかります。
▽次回は、養子縁組の要件を記載したいと思います。