遺言書を作成する気持ちのある方はたくさんおられます。そして、多くの方が「まだ大丈夫」「ゆっくり書けばいい」と、おっしゃります。
しかし、過去にお引き受けさせて頂いたご相続発生後のご相談において、「遺言書を書いてもらっておけばよかった」「遺言書を書くと言っていたけど、先延ばしにしているうちに急に亡くなってしまった」などという後悔のお言葉をよくお聞きします。
遺言書に限らず、過去のご経験の中で先延ばしにしているうちに「チャンスを逃した」「取り返しのつかないことになった」「あの時にしておけば・・・」などのご経験はありませんか?何事においてもタイミングは大切です。
遺言書を書くと思い立った今がタイミングですので、おはやめに作成されることをおすすめします。
・ | 夫婦の間に子どもがいない |
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・ | 面倒を見てくれている子に多く相続させたい |
・ | 障害のある子に多く相続させたい |
・ | 孫に財産をあげたい |
・ | 子の配偶者に財産を分けてやりたい |
・ | 全然会えない子よりもよく遊びに来てくれる甥姪に財産をあげたい |
・ | 相続人同志の仲が悪い |
・ | 先妻(先夫)の子と後妻(後夫)の子がいる |
・ | 内縁の夫または妻がいる |
・ | 不動産を複数所有しているため、不動産の分け方を決めておきたい |
・ | 経営している会社の後継者となる子に多く相続させたい |
・ | 財産の全部または一部をボランティア団体に寄付したい |
・ | 相続人がいない |
・ | 事業用財産がある など |
遺言書とはなにか。制度の詳細は別として、遺言書自体はほとんどの方がご存知だと思います。
ただし、遺言書はご自身が所有している財産を誰々に相続させる。などといった、財産に関することだけを記載するものであるとご認識されている方が多いのではないでしょうか。
たしかに、法的行為としての遺言書の役割はそのとおりです。しかし、遺言書には財産を記載するだけでなく、想いを記載する事項として付言事項というものがあります。むしろ、遺言書を書く方にとっては想いが大事な方も多いのではないでしょうか。もちろん、財産の分け方自体にも想いが込められているわけですから、それだけで想いが届くかもしれません。
しかし、なぜ、そのような分け方にしたのかということやご家族への感謝の言葉、ご自身がお亡くなりになられた後、ご家族にどのように過ごしていってもらいたいのかなどを記載することにより、さらにご家族へあなたの想いを届けることが出来ます。
財産とよべる程のものを所有していないから遺言書なんて自分には関係ない。と、お思いの方が多いのではないでしょうか。
しかし、ご自宅を所有されている方は結構いらっしゃると思います。ご自宅も立派な財産です。そして、今後もご自宅に住み続けていくご家族にとっては、預貯金などのすぐに現金化出来る財産が少なく、ご相続財産のほとんどがご自宅であるという場合は、ご相続関係によっては大変なことになる可能性もあります。
たとえば、ご相続人様が数名いらっしゃる場合で、そのうちのお一人の方のみがご自宅にお住まいになる場合などです。残りのご相続人様からすれば、その方が住み続けるのであれば、不動産の名義はその方名義にする代わりに、ご自身の法定相続分に相当する金銭をその方に対し請求することが出来ます。
そして、それが無理なのであれば、ご自宅を売却し、売却代金を法定相続分どおりでわけるという主張をすることが出来ます。もし、ご相続人様が配偶者様とお子様であり、配偶者様が住み続けていくのであれば、あきらかに仲が悪い場合は別として、普通であればこのような主張はされないと思います。
しかし、ご相続人様がお子様のみなどの場合はこのような問題が起こる可能性は高まります。さらに、ご相続人様が配偶者様とご自身のご兄弟姉妹様、甥御様・姪御様などの場合は、なおさらご相続争いに発展する可能性があります。
また、たとえ今はご相続人様になられる予定の方同志の仲がよくても、ご相続発生時にご相続人様の中に金銭面で苦しんでおられる方がいる場合や、ご相続人様同士は仲が悪くなっていなくても、その配偶者様が介入し、争いに発展する可能性もありますので遺言書を作成されることをおすすめします。
なお、遺言書の内容により他のご相続人様の遺留分を侵害する可能性がある場合は、遺言によりご相続財産を取得される方を受取人に指定した生命保険に加入しておくことをおすすめします。なぜならば、生命保険金は民法上ご相続財産とはならないため、受取人様が侵害している遺留分に対する弁済金として生命保険金を使用することが出来るからです。
遺言書を作成することにより、法定相続人様以外の方に対してもご自身の財産をお渡しすることが出来ます。これを遺贈といい、遺贈には包括遺贈と特定遺贈の2種類があります。そして、財産を受け取られる方のことを受遺者といいます。もちろん、法定相続人様以外の方に対してではなく、遺言書により各法定相続人様がご取得される財産の割合や財産自体を指定することも出来ます。
包括遺贈とは、遺言書を作成された方がお亡くなりになられた際に、財産の全部またはその一部を、遺言書に記載された割合に応じて受遺者様がご取得される方法となります。
これに対し、特定遺贈とは、遺言書により指定された財産を受遺者様がご取得される方法となります。特定遺贈の場合、遺言書を作成された方がお亡くなりになられるまでに、その指定された財産を手放された場合は、この受遺者様はなんら相続財産を取得することが出来ないこととなります。
なお、遺言書は誰にでも関係のあるものですが、特に、法定相続人様以外にも財産を渡したいと考えておられる場合、法定相続人様が配偶者様とご兄弟姉妹様である場合、法定相続人様がおられない場合などは、おはやめに遺言書を作成されることをおすすめします。
ちなみに、相続税を納める必要がある場合の法定相続人様以外への遺贈に関しては、相続税の計算により算出されたその方の納めるべき相続税額に20%の税額が加算されることになります。
また、ボランティア団体などに対する遺言による寄付を考えているけど、どこに寄付をすればよいのかわからない。と、お悩みの場合は、ご相談者様の想いをお聞きしたうえで、寄付先の選定をご一緒にさせて頂くことも出来ますのでお気軽にご相談頂ければと思います。