包括遺贈と特定遺贈 – 受遺者の資格、税金
遺言により、自身の財産を特定の人に無償で譲渡することを遺贈といい、財産を受け取る者のことを受遺者といいます。
遺贈には、包括遺贈と特定遺贈の2種類があります。包括遺贈は、財産の全部またはその一部を、遺言書に記載された割合に応じて受遺者が取得する方法となります。
これに対し、特定遺贈は、遺言書により指定された特定の財産を受遺者が取得する方法となります。特定遺贈の場合、遺言者が亡くなるまでにその指定された財産を手放した場合は、原則として当該受遺者は財産を取得することが出来ないことになります。
受遺者には、遺言者が亡くなった際に存在している人及び法人であれば誰でもなることが出来ます。
ただし、相続欠格事由に該当する者は、受遺者となることは出来ません。また、相続発生時の胎児に関しては、既に生まれたものとみなされます。
なお、被後見人が、後見の計算の終了前に、後見人またはその配偶者もしくは直系卑属の利益となる遺言をしたときは、民法第966条の定めによりその遺言は無効となります。ただし、当該後見人が遺言者の直系血族、配偶者または兄弟姉妹である場合は無効となりません。
さらに、遺言者が亡くなる前に受遺者が亡くなっていた場合は、遺贈の効力は発生しないため、受遺者の相続人が受遺者の地位を承継して財産を受け取ることは出来ません。なお、遺贈に停止条件が付されている場合において、当該条件が成就した時に受遺者が亡くなっている場合も同様に遺贈の効力は発生しないことになります。
受遺者が納めるべき相続税額の計算において、遺贈により財産を取得した受遺者が遺言者の配偶者、子、父母、代襲相続人である孫以外である場合は、税額控除を差し引く前の相続税額に20%の税額が加算されます。
なお、養子は20%加算の対象にはなりませんが孫が養子となっている場合は20%加算の対象となります。
また、遺贈の対象が不動産である特定遺贈の場合において、受遺者が相続人以外である場合は、不動産取得税が課されることになります。これに対し、包括遺贈の場合や受遺者が相続人である特定遺贈の場合は、不動産取得税は課されません。
▽次回は、遺贈の承認と放棄に関することを記載したいと思います。