貸駐車場の相続税評価
駐車場として利用している土地は、現況によりほとんどの場合、雑種地として評価することになります。
雑種地の更地の課税評価額は、その雑種地と状況が類似する付近の土地について評価した1㎡当たりの価額をもととして、その土地とその雑種地との位置、形状等の条件の差を考慮して評価した価額に、その雑種地の地積を乗じて算出します。
土地の所有者自身が、その土地を貸駐車場として利用している場合の価額は更地の課税評価額となります。
これは、青空駐車場(アスファルトやコンクリートなどの構築物が設置されている場合を含む)として利用している場合に限らず、管理人を置いている場合や土地の所有者自身が立体駐車場などの構築物を設置している場合でも同じです。
また、タワーパーキングなどの建物内をガレージとして貸している場合でも借地借家法の適用がないため、貸家建付地としての評価は出来ません。
ただし、シャッター付のガレージで施錠可能であるなど、借地借家法の適用がある建物と認められる場合は貸家建付地として評価することが出来ます。
借地借家法の適用があると認められるためには、障壁その他によって他の部分と客観的、明確に区別され、独立排他的な支配を可能とする構造を有するものであることが必要であるとされています。
なお、砂利や小石を敷き、ロープを張っているだけのような青空駐車場の場合は、小規模宅地等の特例も受けることが出来ません。小規模宅地等の特例を受けるためには、最低でもアスファルトやコンクリートなどの構築物が設置されている必要があります。
上記のように、原則、青空駐車場の価額は更地の課税評価額となりますが、駐車場の利用者がすべて隣接している貸ビル・マンションなどの賃借人である場合は、その契約とは別に駐車場の契約がされているとしても、事実上この賃ビル・マンションなどの賃貸借と一体のものであると考えられるため、利用の単位が同一であると考え、その土地全体を貸家建付地として評価することが出来ます。
ただし、駐車場と貸ビル・マンションなどとの間に、ある程度の公共性を有する道路がある場合やこの賃ビル・マンションなどの賃借人以外にも一部貸している場合は、一体性が認められなくなるため更地として評価されることになります。
管理会社に一括貸しを行い、管理会社の負担でアスファルトや車庫などの構築物を設置している場合は、更地の課税評価額から契約期間に応じた賃借権の価額を差し引いて評価します。
また、車庫などの構築物を駐車場の利用者の費用で造ることを認めるような契約の場合にも、土地の賃貸借になると考えられるため、更地の課税評価額から契約期間に応じた賃借権の価額を差し引いて評価します。
この場合の賃借権の価額は下記計算式により評価します。なお、管理会社の負担でタワーパーキングなどの建物を建築している場合は、貸宅地として評価されるため、更地の課税評価額から借地権の価額を差し引いて評価します。
① 地上権に準ずる権利として評価することが相当と認められる賃借権(賃借権の登記がされているもの、設定の対価として権利金や一時金の支払いのあるもの、堅固な構築物の所有を目的とするものなど)
(計算式)
更地の課税評価額×残存期間に応じた法定地上権割合と借地権割合のいずれか低い割合
② 上記以外の賃借権
(計算式)
更地の課税評価額×残存期間に応じた法定地上権割合×1/2
※法定地上権割合 | |||
残存期間 | 地上権割合 | 残存期間 | 地上権割合 |
10年以下 | 5% | 30年超35年以下 | 50% |
10年超15年以下 | 10% | 35年超40年以下 | 60% |
15年超20年以下 | 20% | 40年超45年以下 | 70% |
20年超25年以下 | 30% | 45年超50年以下 | 80% |
25年超30年以下及び 期間の定めのないもの |
40% | 50年超 | 90% |
▽次回は、広大地の相続税評価に関することを記載したいと思います。